卒業式式辞にかえて               

                     双葉町立双葉南小学校長 末永幸弘

 

42名の卒業生の皆さん、まずお詫びをします。皆さんに卒業証書が渡せなく、本当に申し訳ありません。また、楽しみにしていた練習を重ねてきた皆さんの門出を祝う卒業式が中止になり残念で仕方がありません。ですが、きっといつか、証書を受け取れる日が来ることを信じて一日一日を家族の皆さんと協力してたくましく前進してください。

皆さんは、この地震と原発の事故で何を学びましたか。私は、まさに生きる力とは何か、人の優しさとは何かを学びました。

地震の後、真っ先に連絡をくれたのは、関西の大地震で被災した友達でした。また、東京にいる1年生の時の担任、80歳になる先生のメールでした。とても励まされました。避難する時、多くの人に親切にしていただきました。味噌汁がこんなに美味しいと感じたことは有りませんでした。皆さんも多くの人に励まされ、親切を受けたことと思います。

埼玉のアリーナで元気な皆さんを見て、ほっとしました。あんなに手を焼かせたY君がお彼岸のおはぎを持ってきてくれました。きっと皆さんはこの震災で多くのことを学んだはずです。生きる力のもとは、たくましい体と、知恵そして優しい心です。これまで、6年間その基礎を身に付けたはずです。全国散り散りになってしまいましたが、南小で着けた力を発揮して、自信を持ってそれぞれの学校で頑張ってください。

皆さんは、地震の前、授業参観で「自分の夢」についてしっかり考えました。それを実現するために必要なことも深く考えました。この地震で少し、道は遠回りになるかもしれません。しかし、諦めてはなりません。諦めた夢はかないません。

2組の人には、夢についての名言を見てもらいました。もう一度紹介します。

「夢見る力のないものは 生きる力もない」

「夢は逃げない 逃げるのはいつも自分だ」

「夢を持つだけなら誰にでもできる 夢を持ち続け 追いかけ続けた人こそ扉は開かれる」

「未来は自分の夢を信じる人のものである」

「夢が見られるなら実現できます」

 PTA新聞が間もなく発行されるところでした。そこには、42名の皆さんの夢と希望がつまっていました。今手元にないことが残念です。これも、きっといつの日か手渡せると信じています。

 これから、どんな未来があるでしょう。日本の将来はどうなるのでしょう。不安ばかりが先立ちます。しかし、未来や将来を創造するのは、皆さんです。南小の大きなめあては、「新しい時代を創造する人間性豊かな子ども」です。未来や将来は、皆さんの手の中にあります。皆さんは、未来からやってきた留学生です。未来に戻るとき、きっとこの困難を乗り越えたことが、思い出に変わることでしょう。素晴らしい未来を造るのは、あなた達です。

 この文章が皆さんに届かないかもしれません。しかし、私は信じます。

42名の皆さん   DREAM COME TRUE

                                                                     2011.3.23

 

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